近況報告 N病院について

N病院では主に婦人科の手術領域について学んでいます。

昨年度の目に見える成果としては、毎週水曜日と金曜日に研修に行き、執刀2件(腹腔鏡下両側付属器切除術、開腹子宮全摘術)、第一助手5件程度、第2助手数十件程度入らせていただきました。外来は8回程度は持たせていただき、手術は4例組む事ができました。

 

昨年の成長としては、過去に先輩方が学ばれていた施設であるものの、自分としては初めてお世話になる施設で良好な人間関係を築き執刀を任せていただける事ができたのは一つ成長だと思っています。

研修医時代は口を開けて待っていれば詰め込まれたほどの臨床経験でしたが、外部の施設で一人で研修となると話は全く違いました。人間性はもちろんのこと、技術面や知識面で自分のやる気や能力をアピールしなければ信頼は得られず、つまりは臨床経験が積めませんし、できない自分をとても情けなく思う日々が続きました。他の施設で研修する先輩や他科の同期の話を聞き、自分より研修が進んでいる話を聞くと今の研修先に不信感が募ることもありました。無償で研修をしている自分はもしかしたら搾取されているのでは無いかと。焦りから最初は楽しかった研修が嫌になった時期もあり、我慢の半年だったと思います。ただどんな状況でもきっと未来は良くなると信じて来ました。それは過去の自分の経験や、言うても超楽観的性格もあり、また家族や周囲の強いサポートがあったからだと思います。

こうして自分の軌跡を文字に起こす事で客観的に自分を分析する事ができますし、今回の記事はほとんど自分向けの記事になってしまいそうです。

 

「手術を任せてもらい経験を積んで大学に戻りそれをさらに深める」という目標があり始まった研修でした。まず取り組んだことは手術周辺の決まり事を身につけることです。

腹腔鏡で手術をするにはまずは多数の手術機器をセットできなければなりません。カメラや気腹装置、バイポーラー、各種鉗子などはいつも同じようにセットされています。加えて、手術後の後片付けも大体同様です。まずは最低限ここから身につけなければやる気のないやつと思われてしまいます。

さらに婦人科では手術のバリエーションはそこまで多くはないため術後のスケジュールは大体同じになります。これも8時30分からの外来開始前にカルテを確認し術後管理の感覚を身につけていきました。

腹腔鏡手術の良い点の一つに、開腹手術と違って全員がカメラの画像を見ながら手術するため術野を共有できる点にあります。腫瘍摘出術、付属器切除、筋腫核出、腹腔鏡下子宮全摘がほとんどなので手術のながれも細かい点まで学ぶ事ができました。

後は手術が実際にできるかどうか。腹腔鏡手術では練習のための機材がありますがこれはZ病院で練習しました。ただ昨年はどのような症例が手術適応となるのかや手術以外の治療として何があるかなど、知識面の勉強がメインになってしまい、こちらの技術面が弱くなってしまいました。来年はここを重点的に鍛えたいと思っています。

その他、経験を積むために超えなければならないハードルとして外来があります。どの病院でもそうだと思いますが、外来で自分が担当した患者さん、つまり執刀は主治医制なので、まずは外来が持てなければ執刀手術することはできません。

今年はそこを突破するのに時間がかかりました。まだ一人で外来を任せる訳にはいかないという事で私が外来を持つ日は上級医が一人バックにつくことになっています。N病院婦人科のスタッフは私を除いて3人なので私のバックに一人つくと残りは2人になってしまいます。そうするとスタッフ3人必要な手術は回らなくなってしまうのです。

解決策としては研修医に手術に入ってもらうことでした。N病院婦人科は研修医がローテーションしてくる月が何ヶ月かあります。私はその月だけ外来を任せてもらえることになり、昨年は2ヶ月だけ外来を持つことができました。

 

話をまとめると、

来年は腹腔鏡の技術を身につけたい、外来を一人で持てるような知識・テクニックを身につけたいといったところです。